「土とコンポスト」根が育つ環境づくり
「フローラルガーデンの庭仕事」H28年5月20日の内容です。次回は6月17日「オーガニック栽培」有機質と栄養について。
■ フローラルガーデンの庭仕事講座/毎月第3金曜日(4月のみ第4) 10:00〜11:30
イギリスのガーデン本を読み解きながら庭目線の園芸基礎知識を学ぶ勉強会。
園芸と庭づくりの基礎を学ぶとともにフローラルガーデンの植物について説明します。
〈講師〉 ケイズガーデン 近藤かおり(フローラルガーデンよさみチーフガーデナー)
〈定員〉70名 〈参加費〉 無料
*お申込みはフローラルガーデン事務局0566-29-4330またはinfo@garden-yosami.jpまで
「土とコンポスト」根が育つ環境づくり
What is soil for gardening? 〜 ガーデニングのための土って? 〜
土には栄養素と水と空気が含まれていています。土は植物の根の働きを助け、根を守っています。 オーガニックガーデナーは「植物ではなく土を感じる」ことで植物をより良い成長へと導きます。
by Alan Titchmarsh
1、土を構成するもの
① 無機質・・・鉱物(砂、石、砂利等)
② 有機質・・・生物由来のもの(葉や枝の堆積物、虫や動物のフン、虫や動物の死骸等)
*自然界において。人工物は除く。
土のほとんどは石が何万年もかけて変化した鉱物の砂です。世界のいくつかの場所では火山灰によって構成されていて、その土は植物の栄養素がたっぷり含まれた肥沃な土です。オーストラリアの土はリンの成分が乏しい土ですが、インドネシアの土は栄養豊富です。そこでは肥料を使わず、豊富な火山灰土で米や野菜の大量生産をまかなっています。
土は生物から生じた有機的なものを含んでいます。動物や植物の朽ちたものから作られた有機質は特に森の中に多く含まれています。世界の中でも湿地は有機質が豊富で、沼地や湿地には多くのピート(泥炭)があり、その中には有史以前の枯死した植物が高い酸性土壌と酸素不足のため分解されずに残っています。
あなたのガーデンの地面を1mも掘ると地表とは異なる部分が現れます。穴を掘ることで、あなたはなぜそこが夏に乾きやすいか、冬に水がたまりやすいかわかるかもしれません。新しく庭を作る前にその土地の酸性度を量ることも良いでしょう。植物の視点から見ると土は彼らの家です。根が必要とする様々なもの(水、空気、栄養素)を土の中に前もって用意することは、彼ら自身が正しく成長するのを助けることになります。
2、土の役割
① 根が必要とする水、空気、栄養素を蓄える場所
② 根の成長を左右する生活環境
〈土の中の水〉土は自然に隙間を作っています。砂地には大きな隙間があり、大きな空気層を作ります。砂地が乾きやすいのは水を早く通す隙間をたくさん持っているからです。有機質を多く含む土は水分保持力が高くなります。
〈土の中の空気〉 根が機能するためには空気が必要です。彼らは土の粒の間に少しの空気を得ています。粘土や泥はとても小さな粒で小さな空気層を作ります。したがって、水が簡単に通り抜けられません。粘土層には雨の日に水が溜まります。もし水がいつも溜まる土なら植物は溺死してしまうでしょう。
〈土の中の栄養素〉土を使わずに植物を育てるためにはその植物に必要な栄養素を見つけて与えなければいけません。しかし、土で植物を育てるのはもっと簡単で、植物自身が必要な栄養を選択します。また、土は栄養素を蓄え、厳しい時のダメージを和らげることができます。
〈土の中の環境〉土は根を支え、植物がまっすぐ成長するのを助けます。また、根が乾いたり、直射日光が当たったりするのをふせぎ、根を守ります。
3、土壌改良のしかた
① 土質を知り、必要なものを想像する
② 耕す(空気を入れこむ)
③ 有機質をすきこむ(バーク堆肥、腐葉土、生ゴミコンポスト等)
④ 無機質をまぜる(鹿沼土、パーライト等) *必要に応じて
あなたのガーデンの土が粘土か砂地か石灰質か、または完璧な土壌(砂、粘土、有機物を含む肥沃な土壌)かを知り、より良い土の状態にするために改良する作業を行うことで植物の成長を助けます。粘土に砂をまぜて水はけの穴を作ったり、有機質をすき込んだりすることが土壌を改良することになります。
4、コンポスト(堆肥)とは
① ガーデンコンポスト・・・雑草や落ち葉、抜いた花壇苗などで作る堆肥
② 生ゴミコンポスト・・・生ゴミを含む家庭から出る有機質からつくる堆肥
新しく花壇を作る場所にはたくさんの有機質を入れ、固い花壇にはマルチングを冬に施します。材料は完熟腐葉土やホームメイドガーデンコンポストを使います。 ほとんどの人にとって一番安くて便利な有機材料はガーデンコンポストを作ることです。あなた自身が作ればコストはかかりません。
5、コンポストを作るには
① ガーデンコンポスト作り
網や木材で枠を作り、材料を中に詰め込みます。樹木の下など、雨が当たり、適度な湿り気を保てる場所が最適です。バクテリアが活発に働く春から秋に分解が進み、半年後には利用可能。冬は分解が遅くなります。
② 生ゴミコンポスト作り
フタのある入れ物か、コンポスターなどを利用。密閉すればハエなどの飛び回る虫がわきません。 コンポスターのように地面に直接かぶせるタイプだと、地面からミミズやバクテリアが入って分解を早く進めてくれます。生ゴミは少量の土または有機質があれば分解できますが、入れ過ぎると土の水分が多くなり、酸欠になりやすいので、入れ過ぎた場合はウッドチップや落ち葉など、生ゴミ以外の有機質を足して水分調節します。
6、コンポスト作りに必要なもの・こと
① ちょうど良いサイズの入れ物
② 水分(バクテリアが活動しやすい)
③ 切り返し(空気を入れる)
④ 材料の表面積を小さくすること(カットする)
⑤ グリーンの材料(雑草やコーヒーカスなど水分量の多いもの)
⑥ ブラウンの材料(紙、木屑、落ち葉など水分量が少ないもの)
7、コンポスト作りに入れない方が良いもの
① プラスチック、メタル、オイル、ガラス等の 人工物(微生物が分解できずに土中に残る)
② 石炭やバーベキューの灰など(大気汚染物質を含み、ミミズや微生物が住みにくい)
③ 調理済みの食べ物(においで虫や動物を寄せてしまうため)
④ 犬猫のフン(大腸菌などの菌が分解されずに土に残り、野菜を汚染する可能性があるため)
〈参考文献〉The Complete How to be a Gardener / Alan Titchmarsh
Guide to Composting, Wildlife Gardening & Sustainable Living / Irish Peatland Conservation Council