選択されているタグ : フローラルガーデンの庭仕事

「種まきと春咲き一年草」種から育てる春の草花

フローラルガーデンの庭仕事」H28年9月16日の内容です。次回は10月21日「剪定と整枝」植物の気持ちに添った枝の切り方。
■ フローラルガーデンの庭仕事講座/毎月第3金曜日 10:00〜11:30
イギリスのガーデン本を読み解きながら庭目線の園芸基礎知識を学ぶ勉強会。
園芸と庭づくりの基礎を学ぶとともにフローラルガーデンの植物について説明します。
〈講師〉 ケイズガーデン 近藤かおり(フローラルガーデンよさみチーフガーデナー) 
〈定員〉70名 〈参加費〉 無料
*お申込みはフローラルガーデン事務局0566-29-4330またはinfo@garden-yosami.jpまで


リナム、スカビオサ、ニゲラ他

「種まきと春咲き一年草」種から育てる春の草花

What are seeds?
あなたが種について考える時、種は小さくて不思議なものだと感じるでしょう。それはちょうど鳥のたまごのように小さな命が入ったカプセル。彼らは春の光とコンディションを感じるまで眠っています。
by Alan Titchmarsh

1、種と発芽
種が発芽するために必要なのは空気と温度、そして湿り気です。栄養素を与える必要はありません。彼らは双葉を作る材料と根を形作る材料を種の中に持っています。しかし、それ以上大きくなるには周りからの栄養が必要となります。
自然界では種はチャンスを得なければ発芽しません。そして、決して多くの種が発芽出来るわけではありません。なぜなら良い場所に落ちるとは限らないからです。生きられるかは周りの環境で決まります。多くの植物の種は無駄に消えていきます。
しかし、ガーデンや家庭では注意深く環境を整え、無駄にせずに多くの種を発芽させることが出来ます。

2、発芽のためのゴールデンルール
発芽は種のファーストステージです。それは初めての茎、初めての根が出る時でもあります。種に合う種まきの仕方をすることは良い発芽を導くことになります。
目安として種の大きさと同じくらいの厚みの覆土をすることが基本です。

◎大きい種(えんどう豆等)
種をまく前に水に浸す必要があります。特にさやえんどうなど大きな豆は12時間水に浸す必要がありますが、それ以上長く浸し過ぎると空気が足りなくなり成長しません。

◎中くらいの種(フレンチマリーゴールド等)
リンゴの種からマスタードの種サイズまでは、土を入れたシードトレイやポットにまいた後、ちょうど種が隠れる程度に薄く覆土をします。決して深く穴を掘ってまいたり、厚めに覆土したりしないようにして下さい。

◎とても小さい種(ベゴニア等)
ホコリのようにとても小さい種は覆土をしません。水やりは種が流れないようにやさしく行います。乾いてしまうのを防ぐために透明なビニールシートで覆い、湿気を保つようにしましょう。

◎固い種(カンナ、スウィートピー等)
固い種は表面が分解しないと発芽が始まりません。種の表面にキズをつけ、覆いに穴をあけることで発芽を早めることが出来ます。しかし、これはリスクも伴います。覆いの中にある白い部分を傷つけず、表面を小さく削るようにすることが大切です。

◎寒さに合わせる処理が必要な種
いくつかの樹木、シュラブ(低木)、多くの山野草はとても寒い気候に出合う経験をするまで発芽しません。それらをまくのは秋です。通常一度冬を経験した後発芽しますが、いくつかの種類は発芽まで2、3年かかるものもあります。あきらめずに水分を保つようにしましょう。

◎湿地植物の種
湿地植物の種は湿り気を保った状態を維持することが必要です。種をまいたシードトレイやポットの下に深さ2.5cmの水を溜められる入れ物を置きます。土の表面まで水分が上がって来るようにしますが、湿地植物以外はこの方法をしないで下さい。水分が多すぎて酸素不足になります。

◎羽やしっぽがある種
羽やしっぽのある種は隣同士が重ならないようにまきます。砂利など重さのあるもので覆土し、風で飛ばされないようにします。

3、種まきに必要なもの
・清潔なポットやシードトレイ
・新しい種まき用培養土、またはマルチ培養土
・プラントラベルと鉛筆
・種
・粉ふるい
・ハスクチが細かいジョウロ
・ラップ、発芽用加温器(必要に応じて)

4、種まき後の管理とポット上げの注意点
・土の表面が乾かないように水やりに気をつけること
・発芽後2週間過ぎたら液肥で栄養分を補う(1週間に1度)
・ポット上げ時は根を切らないように移動すること
・ポット上げ時は茎ではなく葉を持って移動すること

5、春咲き一年草
春に花を咲かせる一年草の多くは耐寒性を持っています。秋に種から育て地に植え、冬になる前に十分に根を成長させた株は、春の花付きが多くなります。多少寒さに弱い種類でも秋に十分に育った株は冬越しする力を蓄えることが出来ます。庭に植える一年草は種から育てることで周りの環境に適応し、丈夫で健康的な株として長い期間花を楽しませてくれるようになるでしょう。

【植物の性質別表記】

HA〔Hardy Annual〕耐寒性一年草/マイナスの気温にも絶えられる一年草
HHA〔Half-Hardy Annual〕半耐寒性一年草/マイナス2、3℃程度までなら絶えられる一年草
HB〔Hardy Biennial〕耐寒性二年草/マイナスの気温にも絶えられる二年草
HP〔Hardy Perennial〕耐寒性多年草/ マイナスの気温にも絶えられる多年草
HHP〔Half-Hardy Perennial〕半耐寒性多年草/マイナス2、3℃程度までなら絶えられる多年草
HHP treat as HHA一年草扱いの多年草/多年草の仲間だが寒さに弱いか自然界で短命のため、毎年種から一年草のように育てるもの

〈参考文献〉
The Complete How to be a Gardener / Alan Titchmarh


「庭植えハーブ」代表的なハーブの育て方

「フローラルガーデンの庭仕事」H28年8月19日の内容です。次回は9月16日「種まきと春咲き一年草」種から育てる春の草花。
■ フローラルガーデンの庭仕事講座/毎月第3金曜日 10:00〜11:30
イギリスのガーデン本を読み解きながら庭目線の園芸基礎知識を学ぶ勉強会。
園芸と庭づくりの基礎を学ぶとともにフローラルガーデンの植物について説明します。
〈講師〉 ケイズガーデン 近藤かおり(フローラルガーデンよさみチーフガーデナー) 
〈定員〉70名 〈参加費〉 無料
*お申込みはフローラルガーデン事務局0566-29-4330またはinfo@garden-yosami.jpまで


「庭植えハーブ」代表的なハーブの育て方

If you are interested in growing herbs you will probably also be interested in a more organic and environmentally aware lifestyle.
ハーブ栽培とオーガニックガーデニングの起源には密接な関係があります。ハーブを育てることに興味を持つことは、オーガニックや環境を意識したライフスタイルにもまた興味を持つことになるでしょう。
by Graham Clarke

1、ハーブガーデンの計画
ハーブガーデンを作ると決めた時、どんな場所で、どんなスタイルが良いのか決める必要があります。あなたのハーブガーデンが成功するために必要なことは何かを考えましょう。

【ハーブの性質】

日の当たり方
多くのハーブは日当りを好むが、斑入り葉や紫葉は弱い光でも生育可能。
土の湿り気
通常の湿り気を含む土(有機質の多い土)で良いが、アロマティックハーブはそれを好まない。特に地中海沿岸原産のものは水はけを良くすることが必要。
土の酸性度
地中海沿岸原産のハーブはアルカリ性土壌を好む。
虫に対する耐性
ハーブは通常、強いにおいやアロマオイル、タンニンなどの薬効成分を体内に持っていて、それらの多くはアブラムシやナメクジなど庭に普通にいる虫がきらいな成分のため、虫除けなどに利用しやすい。
乾燥に対する耐性
一般的なハーブはインドや中国、地中海沿岸のものなど、太陽が輝く、乾燥した地域原産のものがほとんど。それは夏に多くの水やりが必要ないことを意味する。

【ハーブガーデンの種類】

フォーマルハーブガーデン幾何学模様と直線を用いたシンメトリーのデザイン。ブロックなどで通路を造る。通常1区画ごとに同じ種類のハーブを入れる。
インフォーマルハーブガーデン場所や好みに合わせて自由にデザインする。様々なハーブを混植することができる。
ハーブホイール車輪を用いたクラッシックデザイン。多くの種類を狭い場所で育てることができる。
キッチンガーデン野菜畑と一緒に作る。料理用のハーブを野菜と一緒に収穫しやすい。
ウィンドウボックス装飾的に色々なハーブを混植する。コンテナやポットはハーブを育てやすい。家の近くに置けるので多くの種類のハーブを利用しやすい。
室内の窓際ポット種から育てる一年草や収穫してすぐ使いたいハーブ向き。ex.バジル、チャイブなど

2、ハーブの増やし方と手入れ
バジルやディルなどの1年草は種から、ラベンダーやローズマリーなど茎が木質化するハーブはさし木で簡単に増やすことが出来ます。ハーブ類は切り取ることで次の枝が出やすいものが多いので、次々に収穫し新芽を出しやすくすると良いでしょう。ブッシュ状に育つタイムやラベンダーは花後(通常初夏)に刈り込むことで形よく保つことが出来ます。

3、ハーブの病害虫対策
ハーブ類は強い香りやオイルのため、他の植物より虫が寄りにくいものが多いですが、アンゼリカやボリジ、ディルなどアブラムシがつきやすいハーブもあります。食用にも利用するハーブ類を家庭で育てる場合、出来るだけ人工的な殺虫剤を使用したくはありません。 少しの範囲なら切りとって処分しましょう。大きな範囲でコントロールが難しい場合は天然由来成分の殺虫剤や石鹸水を使用します。

4、季節の庭仕事と代表的なハーブ
香りの良いハーブの収穫は香りの成分が強く残るよく晴れた日に行います。ちょうど良く熟した花や葉をタイミング良く摘み取るよう時期を見計らい、健康な枝のみ(5d〈枯枝、劣化した枝、 ダメージ枝、 病気の枝、色が抜けた枝〉を除く)を収穫すると良いでしょう。

【春の庭仕事】
〈2〜3月〉株分け、種まき(室内)
〈4〜5月〉 種まき(屋外)、植え付け、移植、施肥、除草、軟枝挿し、剪定と整枝、フレッシュハーブ収穫
◎代表的なハーブ
〈株分け〉ベルガモット、カモミール、ヒソップ、ミント
〈種まき〉 バジル、ボリジ、フェンネル、コリアンダー、チャービル、チャイブ、ディル、レモンバーム、パセリ、セージ
〈軟枝挿し〉 ラベンダー、マジョラム、ミント、ローズマリー、ルー、セージ、フレンチタラゴン、ウィンターセボリー、タイム
〈剪定と整枝〉月桂樹、ヒソップ、ラベンダー、ルー、タイム
〈フレッシュハーブ収穫〉アンゼリカ、レモンバーム、月桂樹、ボリジ、キャラウェイ、チャービル、チャイブ、フェンネル、ミント、パセリ、ローズマリー、タラゴン

【夏の庭仕事】
〈6〜8月〉非耐寒性ハーブ植え付け、除草、水やり、施肥、ドライハーブ収穫、種の収穫、剪定と整枝
◎代表的なハーブ
〈ドライハーブ収穫〉 セージ、ラベンダー、レモンバーム、ヒソップ、タラゴン、ローズマリー、タイム、マジョラム、セボリー
〈種の収穫〉アンゼリカ、アニス、キャラウェイ
〈剪定と整枝〉夏のシュート、ヘッジ、トピアリー等

【秋の庭仕事】
〈9〜11月〉 除草、非耐寒性ハーブ室内へ移動、半耐寒性ハーブ霜よけ、最後の剪定、 ドライ(または冷凍用)ハーブ収穫、種の収穫、腐葉土のマルチング、カットダウン
◎代表的なハーブ
〈非耐寒性ハーブ室内へ移動〉バジル、コリアンダー
〈半耐寒性ハーブ霜よけ〉ニオイゼラニウム、レモンバーベナ
〈最後の剪定〉月桂樹、カレープラント、ラベンダー
〈ドライ(または冷凍用)ハーブ収穫〉 セージ、タンポポの根、マリーゴールド、ラベンダー、パセリ、ペパーミント
〈種の収穫〉アンゼリカ、アニス、キャラウェイ、チャービル、フェンネル

【冬の庭仕事】
〈12〜1月〉根伏せ(室内)、土のphチェック(アルカリや酸性が強い場合、有機質や堆肥を入れて調整)、落葉樹剪定、テラコッタポット移動(凍らないように)、枯枝や枯れ葉撤去(病気を持ち越さないように)、ハーブガーデン計画、種の注文、フレッシュハーブ収穫
◎代表的なハーブ
〈根伏せ〉ミント、ペニーロイヤル、タンジー、タラゴン
〈落葉樹剪定〉 エルダー
〈フレッシュハーブ収穫〉室内や温室に移動した非耐寒性や半耐寒性ハーブ

〈参考文献〉
THE ORGANIC HERB GARDENER / GRAHM CLARKE


「虫と共存する庭づくり」虫や病気との付き合い方

*「虫と共存する庭づくり」について英国の園芸書から読み取った内容をお伝えしますが、殺虫剤を使う前にまずは健康に育てることを意識してほしいと個人的には思います。
一番下に掲載している庭と暮らし8月号の内容も一緒に読んでもらえるとうれしいです。
近藤かおり

「フローラルガーデンの庭仕事」H28年7月15日の内容です。次回は8月19日「庭植えハーブ」代表的なハーブの育て方。
■ フローラルガーデンの庭仕事講座/毎月第3金曜日(4月のみ第4) 10:00〜11:30
イギリスのガーデン本を読み解きながら庭目線の園芸基礎知識を学ぶ勉強会。
園芸と庭づくりの基礎を学ぶとともにフローラルガーデンの植物について説明します。
〈講師〉 ケイズガーデン 近藤かおり(フローラルガーデンよさみチーフガーデナー) 
〈定員〉70名 〈参加費〉 無料
*お申込みはフローラルガーデン事務局0566-29-4330またはinfo@garden-yosami.jpまで


ダリア ビショップオブヨーク

「虫と共存する庭づくり」虫や病気との付き合い方

preventing the occurrence of the problem 〜 問題の発生を予防するには? 〜
植物の健康に関する心配事はいつもあります。しかし、良い環境の庭では虫や病気に攻撃されることは希です。植物が健康に育つのに必要なもの、必要ないものは何かを知ることで避けられる心配事もあります。
by Alan Titchmarsh

1、自然を理解すること
植物は自生地では健康で良い状態に育ちますが、庭では自生地に近い土壌コンディションを整え、水分量、肥料分を調整することで植物が健康な状態になるようにする必要があります。
基本的に自生地と極端に異なる環境下では、植物が弱り、虫や病気に対して抵抗力がなくなります。例えば、自生地が乾燥地帯で水分をあまり必要としていない植物が、毎日水を与えられたり、水はけの悪い土壌に植えられたりした場合、虫や病気の問題が発生しやすくなります。

2、植物を守る10の方法
① 植物を健康に保つ(Healthy plants)
植物が健康であればダメージを受けた時の回復が早くなります。特に水を正しくコントロールすることは植物を健康に保つ近道です。

② 抵抗力のある品種を選ぶ(Resistant varieties)
花の色や実の大きさなど植物を選択する要素は数多くありますが、耐病性、耐暑性、耐寒性を考えて選ぶことで、花や実を失うリスクを抑えることが出来ます。ブリーダーが環境適応能力の高い植物を選抜し、生み出した、庭植えに適した植物を選ぶこともおすすめです。

③ かしこい文化的な方法(Cunning culturel methods)
理にかなった方法で虫や病気を寄せないようにします。例えば、ナメクジは湿気が多い場所を好むので風通しを良くしたり、乾きやすい環境にしたりすることで減らすことができます。耐寒性のある植物は、秋に種を蒔き、冬越しをさせると病気や虫に強い個体になります。

④ 障害物を置く(Barriers)
コッパーリング(銅の輪)はナメクジをよけるのに効果的です。
泡立てた石鹸を木の幹にぬると虫を動きまわれなくするのに役立ちます。また、石鹸は虫を窒息させたり、匂いで虫を寄せ付けなくしたりすることも出来ます。

⑤ 見つからないようにする(Hide and seek)
虫は匂いで食べ物を見つけます。鳥は色や形で好みの食べ物を見つけます。植物を1種類で育てるのではなく、ミックスして植えると匂いや形を隠すことが出来ます。例えば玉ねぎとニンジンを一緒に植えたり、キッチンガーデンの周りをラベンダーで囲ったりすることで虫や鳥の被害から守ることが出来ます。

⑦ 補食動物を使う(Encourage natural predators)
自然界ではすべての生き物に敵がいます。植物を食べる虫を食べる動物を呼び込むことで虫の害を減らすことが出来ます。
例)鳥が住む巣箱を置く。てんとう虫やクサカゲロウが住むインセクトホテルを置く。

⑧ コンパニオンプランツ(Companion plants)
コンパニオンプランツとは相性の良い植物のこと。一緒に育てることで片方が虫を引き寄せたり、寄せ付けないようにしたりして虫の害を減らします。また、栄養豊富な土づくりに役立つ植物を一緒に育てることで天然の肥料を得られます。
ネギやニンニクの仲間はバラやフルーツと相性が良く、細菌による感染症に強くなります。また、バラと一緒にラベンダーを植えるとアブラムシが少なくなります。
マメ科の植物は窒素、コンフリーはカリウム、ソーンアップル(ダチュラの仲間の雑草)はリンを集め、植物を健康に育てることに役立ちます。

⑨ 生物学的にコントロールするものを購入すること(Buying in biological controls)
自然界に存在する虫や細菌、病原菌を使った効果的な生物農薬は商業的に販売されています。それらは決して安いものではありませんが、生物学的に正しい方法でコントロールすることは転ばぬ先の杖になります。

⑩ 直接とる(Direct action)
シンプルに虫を自分の手で取ります。取った虫は高塩分の水や熱湯に入れるか、凍らせると確実に殺すことが出来ます。発見したらすぐ行動を起こすことが大切です。手で取ることが難しい虫(アリ、温室コナジラミ等)はハンドクリーナーで吸い取って集めます。集めた虫は袋に詰めて殺すか、遠くに捨てましょう。

3、殺虫剤の種類
①天然由来成分の殺虫剤・・・自然界に存在するもののみで作られた殺虫剤。
接触によって殺虫する接触性のものが多い。植物が吸収することで効果が現れ、1ヶ月以上効果が続くものもある。
②化学成分の殺虫剤・・・人工的に化学物質を抽出または合成して作られた殺虫剤。
即効性があるが、益虫を死滅させたり、化学物質が残留したりすることで自然界のバランスを崩す恐れがある。
③天然由来成分と化学成分が混ざった殺虫剤

天然由来成分の殺虫剤

問題および治療法
【虫害 、細菌やバクテリアによる感染症】
・ボルドーミックス(硫酸銅と殺菌剤として使われる消石灰を混ぜた予防スプレー。分解しにくく毒性がある)
【うどんこ病 、黒点病】
・炭酸水素カリウム(接触性殺虫剤。時々石鹸や油を固める材料として入っている)
【細菌による感染症、昆虫】
・硫黄(粉または脂肪酸入りスプレーの接触性殺虫剤。いくつかの植物にはダメージがあるので小さな場所で試すことが必要 )
・液体石鹸または石鹸殺虫剤(アルコールの入った脂肪酸カリウム。接触性殺虫剤スプレー。水中生物に毒。監視下において安全 )
・ごま油/ブレンド魚油(通常スプレーを使用する。昆虫用の毒より早く効く。水質を安全に保つ。予防効果がある)
【昆虫】
・グリースか接着剤のバンド( 冬に動くガに。通常アブラナ油から作られる)
・フェロモントラップ(ガに)
・植物性オイル(菜種油をベースにした接触性スプレー殺虫剤。おそらく、てんとう虫やミツバチには無害)
・除虫菊粉(除虫菊の抽出物による接触性殺虫剤。水生生物に有害。ミツバチも殺す)
・ベタベタトラップ(温室の中に吊るして飛んでいる虫に仕掛ける)
・冬の樹木洗い(植物性オイルスプレーで冬越ししている昆虫の卵を窒息させる)
【ナメクジ】
・リン酸第2鉄ペレット(子どもやペット、野生動物に無害)

〈参考文献〉
SIMPLE, GREEN PEST AND DISEASE CONTROL / Bob Flowerdew
Alan Titchmarsh how to garden Pests and Problems / Alan Titchmarsh

庭と暮らし8月「ガーデナーの庭仕事/虫と共存する庭づくり」より
 ひと雨ごとに植物がぐんぐん育つ梅雨時期。同時に虫や病気もやってきます。涼しい気候が好きな植物は高温多湿が苦手。うどんこ病で葉が真っ白になっているのはたいていそんな植物です。虫が葉を食べに来るのはバラ科の植物。 丸坊主にしたくなるほどおいしいのかな? やわらかい新芽はアブラムシの大好物。梅雨時期には様々な生き物が活発に動き回ります。
 庭の中では植物も虫も微生物も一生懸命生きています 。 病気になっても虫に食べられても、植物は再び新しい芽を出し、ただ生きるための努力をします。
 自然と一緒に仕事をするオーガニックガーデナーが出来ることは 、 単純に薬をまいて虫や菌を殺すことではなく、植物自身が体力をつけ、虫や病気に耐えられるよう土や環境を整えて、 見守ること。真夏には虫も病気も一休み。人と同じで暑すぎるのは苦手です。この環境に耐えられる植物を選ぶのもガーデナーの大切な仕事のひとつ。
 自然環境に負荷をかけず、植物も虫も人もお互い様の気持ちで共存できる社会になることを願っています。

フローラルガーデンよさみ
チーフガーデナー
近藤かおり


「オーガニック栽培」有機質と栄養について

「フローラルガーデンの庭仕事」H28年6月17日の内容です。次回は7月15日「虫と共存する庭づくり」虫や病気との付き合い方。
■ フローラルガーデンの庭仕事講座/毎月第3金曜日(4月のみ第4) 10:00〜11:30
イギリスのガーデン本を読み解きながら庭目線の園芸基礎知識を学ぶ勉強会。
園芸と庭づくりの基礎を学ぶとともにフローラルガーデンの植物について説明します。
〈講師〉 ケイズガーデン 近藤かおり(フローラルガーデンよさみチーフガーデナー) 
〈定員〉70名 〈参加費〉 無料
*お申込みはフローラルガーデン事務局0566-29-4330またはinfo@garden-yosami.jpまで


スカシユリとグラスガーデン

「オーガニック栽培」有機質と栄養について

What is gardening organically ?  〜 有機栽培のガーデニングって? 〜
有機栽培のガーデニングは自然と一緒に仕事をします。自然と一緒に庭を美しく作ったり、作物を育てたりするのは、決して不思議なことや難しいことではありません。あなたができるやり方で有機栽培に挑戦すればあなたの植物は健康でいられるでしょう。
by Deborah schneebeli-morrell


1、オーガニック栽培
① 有機質をたっぷり含む土で育てる → 植物が健康に育つ環境に
② 化学合成の肥料や殺虫剤、除草剤を使用しない → 土中の微生物が活動しやすい環境に

オーガニック栽培は有機質土壌栽培です。土中の微生物や自然の力を借りながら植物自身が体力をつけ成長する、昔から行われている栽培方法です。
人工地盤(ロックウールや水耕栽培等)や化成肥料を使って人工的に計算された環境で育てる栽培方法で効率よく植物を大きく育てることは可能ですが、人工的な栽培方法は常に人間が管理し続ける必要があります。
有機質土壌栽培は植物自身が必要な時に必要なだけの水分や栄養分を土壌から補います。植物が自立して健康に育つことが出来るよう環境を整えることが、オーガニック栽培の中で最も重要な仕事になります。

〈オーガニック〉有機体の、生物から生じた、炭素を含む、有機栽培の、無農薬の(ジーニアス英和辞典より)
〈オーガニックファーム、オーガニックガーデン〉法律に基づいて定義された有機栽培農家という証明をうけている農家、庭園のこと。オーガニック証明団体に認可された肥料、土壌改良材、自然に由来する殺虫剤のみを使う農家や庭園を意味します。

2、有機質の役割
有機質土壌は植物が育つために必要な水分、空気、栄養素が豊富にある素晴らしい土

① 土地をやわらかくする/有機質を含む土は植物の根が育つスペースを作り、再び掘り返す手間を減らします。
② 湿り気と水分を保つ/スポンジのように水分を含むことができます。
③ 空気の保持と排水路を作る/水やりをすることで新しい空気が入り、土が呼吸します。
④ 微生物が活発に活動する/住み良い環境と食べ物は健康で幸せな微生物の集団を作ります。

有機質は土の中で重要な役割を果たします。砂地では粒を結びつけて穴を埋め、またスポンジのように水分を蓄えることで水を保つのを助けます。粘土では小さな粒を結びつけて大きな粒にし、水はけの経路を作ります。有機質はミミズを増やし、ミミズは水はけのトンネルを作ってくれます。

有機質のかたまりは土の構造を改良したり、バクテリアが働いて栄養素を土中に放出したりするのに役に立ちます。しかし、有機質は土中に栄養素を含ませるには良い材料ですが、それ自体が肥料という訳ではありません。栄養素が足りない土には肥料を使うことが必要です。

3、栄養素と役割
植物は光合成を通じて空気と水を利用して手に入れた酸素、炭素、水素で構成されています。植物が成長するためには光、水、空気の他に約30種類の化学物質を土から取り入れることが必要です。

主な栄養素不足すると自然の存在場所
窒素 nitrogen〔葉を育てるのを助ける〕・成長が遅くなる・上部の葉がうすい緑色に下部の葉が黄色になる・雨の中・マメ科の植物の根粒・堆肥・微生物のいる有機質土壌
リン phosphorus〔根の成長を促進する〕赤と紫などの暗い葉は秋に早く葉を落とす・鉱物や土の中・動物の糞や骨
カリウム potassium〔実や花の生産を助ける〕地面に近い古い葉の先端や端が黄色くなり、茶色くなったり枯死したりする・鉱物や土の中・果実・落ち葉
微量要素自然の存在場所
マグネシウム・白雲石
硫黄・火口付近の鉱物
カルシウム・石灰岩、卵殻、貝殻、硬水、骨粉、硬化した海藻、過リン酸塩
その他微量要素自然の存在場所
鉄、マンガン、モリブデン、亜鉛、 銅、ホウ素・大きな有機質のかたまり、海藻生産物等

*イギリスではリンが根、カリウムが実の成長を助ける栄養素という考えが主流

4、有機質材料でつくる肥料
【緑肥】地面に直接種をまき、すき込む
・窒素が固定されているマメ科の植物(ニトロゲンフィクサー)/ゆっくり効く天然の窒素肥料 。アルファルファ、そら豆、レッドクローバー、ルピナス等
・成長が早く分解されやすい植物(ノンニトロゲンフィクサー)/有機質をすばやく供給する天然の有機土壌改良材。ライ麦、ファセリア、マスタード等

【液肥】水に浸してつくる
・有機肥料や鶏糞堆肥を水に浸して作る/素早く効くバランスの良い肥料
・コンフリーを水に浸して日陰で3週間ほど寝かす/ミネラルとカリウムが豊富

*カモミール、タンポポ、ネトル、カノコソウ、ノコギリソウも栄養価が高く、緑肥や液肥、マルチングとして利用可能

〈参考文献〉
ORGANIC CROPS IN POTS / deborah schneebeli-morrell
THE ORGANIC HERB GARDENER / Graham Clarke
organic gardening techniques / Nick Hamilton
BUILDING SOIL / ELIZABETH MURPHY
The Complete How to be a Gardener / Alan Titchmarsh


「土とコンポスト」根が育つ環境づくり

「フローラルガーデンの庭仕事」H28年5月20日の内容です。次回は6月17日「オーガニック栽培」有機質と栄養について。
■ フローラルガーデンの庭仕事講座/毎月第3金曜日(4月のみ第4) 10:00〜11:30
イギリスのガーデン本を読み解きながら庭目線の園芸基礎知識を学ぶ勉強会。
園芸と庭づくりの基礎を学ぶとともにフローラルガーデンの植物について説明します。
〈講師〉 ケイズガーデン 近藤かおり(フローラルガーデンよさみチーフガーデナー) 
〈定員〉70名 〈参加費〉 無料
*お申込みはフローラルガーデン事務局0566-29-4330またはinfo@garden-yosami.jpまで


カーディナル ド リュシユ


植物のしくみ

「土とコンポスト」根が育つ環境づくり

What is soil for gardening?  〜 ガーデニングのための土って? 〜
土には栄養素と水と空気が含まれていています。土は植物の根の働きを助け、根を守っています。 オーガニックガーデナーは「植物ではなく土を感じる」ことで植物をより良い成長へと導きます。
by Alan Titchmarsh

1、土を構成するもの
① 無機質・・・鉱物(砂、石、砂利等)
② 有機質・・・生物由来のもの(葉や枝の堆積物、虫や動物のフン、虫や動物の死骸等)
*自然界において。人工物は除く。

土のほとんどは石が何万年もかけて変化した鉱物の砂です。世界のいくつかの場所では火山灰によって構成されていて、その土は植物の栄養素がたっぷり含まれた肥沃な土です。オーストラリアの土はリンの成分が乏しい土ですが、インドネシアの土は栄養豊富です。そこでは肥料を使わず、豊富な火山灰土で米や野菜の大量生産をまかなっています。

土は生物から生じた有機的なものを含んでいます。動物や植物の朽ちたものから作られた有機質は特に森の中に多く含まれています。世界の中でも湿地は有機質が豊富で、沼地や湿地には多くのピート(泥炭)があり、その中には有史以前の枯死した植物が高い酸性土壌と酸素不足のため分解されずに残っています。

あなたのガーデンの地面を1mも掘ると地表とは異なる部分が現れます。穴を掘ることで、あなたはなぜそこが夏に乾きやすいか、冬に水がたまりやすいかわかるかもしれません。新しく庭を作る前にその土地の酸性度を量ることも良いでしょう。植物の視点から見ると土は彼らの家です。根が必要とする様々なもの(水、空気、栄養素)を土の中に前もって用意することは、彼ら自身が正しく成長するのを助けることになります。

2、土の役割
① 根が必要とする水、空気、栄養素を蓄える場所
② 根の成長を左右する生活環境

〈土の中の水〉土は自然に隙間を作っています。砂地には大きな隙間があり、大きな空気層を作ります。砂地が乾きやすいのは水を早く通す隙間をたくさん持っているからです。有機質を多く含む土は水分保持力が高くなります。

〈土の中の空気〉 根が機能するためには空気が必要です。彼らは土の粒の間に少しの空気を得ています。粘土や泥はとても小さな粒で小さな空気層を作ります。したがって、水が簡単に通り抜けられません。粘土層には雨の日に水が溜まります。もし水がいつも溜まる土なら植物は溺死してしまうでしょう。

〈土の中の栄養素〉土を使わずに植物を育てるためにはその植物に必要な栄養素を見つけて与えなければいけません。しかし、土で植物を育てるのはもっと簡単で、植物自身が必要な栄養を選択します。また、土は栄養素を蓄え、厳しい時のダメージを和らげることができます。

〈土の中の環境〉土は根を支え、植物がまっすぐ成長するのを助けます。また、根が乾いたり、直射日光が当たったりするのをふせぎ、根を守ります。

3、土壌改良のしかた
① 土質を知り、必要なものを想像する
② 耕す(空気を入れこむ)
③ 有機質をすきこむ(バーク堆肥、腐葉土、生ゴミコンポスト等)
④ 無機質をまぜる(鹿沼土、パーライト等) *必要に応じて

あなたのガーデンの土が粘土か砂地か石灰質か、または完璧な土壌(砂、粘土、有機物を含む肥沃な土壌)かを知り、より良い土の状態にするために改良する作業を行うことで植物の成長を助けます。粘土に砂をまぜて水はけの穴を作ったり、有機質をすき込んだりすることが土壌を改良することになります。

4、コンポスト(堆肥)とは
① ガーデンコンポスト・・・雑草や落ち葉、抜いた花壇苗などで作る堆肥
② 生ゴミコンポスト・・・生ゴミを含む家庭から出る有機質からつくる堆肥

新しく花壇を作る場所にはたくさんの有機質を入れ、固い花壇にはマルチングを冬に施します。材料は完熟腐葉土やホームメイドガーデンコンポストを使います。 ほとんどの人にとって一番安くて便利な有機材料はガーデンコンポストを作ることです。あなた自身が作ればコストはかかりません。

5、コンポストを作るには
① ガーデンコンポスト作り
網や木材で枠を作り、材料を中に詰め込みます。樹木の下など、雨が当たり、適度な湿り気を保てる場所が最適です。バクテリアが活発に働く春から秋に分解が進み、半年後には利用可能。冬は分解が遅くなります。
② 生ゴミコンポスト作り
フタのある入れ物か、コンポスターなどを利用。密閉すればハエなどの飛び回る虫がわきません。 コンポスターのように地面に直接かぶせるタイプだと、地面からミミズやバクテリアが入って分解を早く進めてくれます。生ゴミは少量の土または有機質があれば分解できますが、入れ過ぎると土の水分が多くなり、酸欠になりやすいので、入れ過ぎた場合はウッドチップや落ち葉など、生ゴミ以外の有機質を足して水分調節します。

6、コンポスト作りに必要なもの・こと
① ちょうど良いサイズの入れ物
② 水分(バクテリアが活動しやすい)
③ 切り返し(空気を入れる)
④ 材料の表面積を小さくすること(カットする)
⑤ グリーンの材料(雑草やコーヒーカスなど水分量の多いもの)
⑥ ブラウンの材料(紙、木屑、落ち葉など水分量が少ないもの)

7、コンポスト作りに入れない方が良いもの
① プラスチック、メタル、オイル、ガラス等の 人工物(微生物が分解できずに土中に残る)
② 石炭やバーベキューの灰など(大気汚染物質を含み、ミミズや微生物が住みにくい)
③ 調理済みの食べ物(においで虫や動物を寄せてしまうため)
④ 犬猫のフン(大腸菌などの菌が分解されずに土に残り、野菜を汚染する可能性があるため)

〈参考文献〉The Complete How to be a Gardener / Alan Titchmarsh
Guide to Composting, Wildlife Gardening & Sustainable Living / Irish Peatland Conservation Council


新着記事

カテゴリー一覧

タグ

ケイズガーデン

2-2-1 , Iwamizu-cho , Okazaki-shi , Aichi , 444-2144 , Japan

TEL +81-564-45-8082
FAX +81-564-64-0012
Mail info@k-garden.jp